クチナシ
の花
クチナシ
の実
梔子(クチナシ)
飛鳥、天平時代から黄色着色染料として布地の染色に、また無害の黄色着色料として、たくあんづけや正月の栗きんとんなどの食品にも利用されています。
生薬として利用するのは果実です。
果実はダイダイ色に美しく熟し、6つの稜のある長楕円形になります。果実は開裂しないので、クチナシ(口なし、久和奈之)の名がつけられました。
完熟した果実は、11月ごろ霜の降りた後に採取し、風通しのよいところで蔭干しします。これを山梔子(サンシシ)または梔子(シシ)といい、漢方処方に使われます。
胆汁分泌の促進、鎮静、血圧降下作用などが認められています。消炎、利胆、止血薬として、黄疸、肝炎、血便、血尿、不安、不眠、吐血などに利用されてきました。
・梔子には気分を落ち着かせる効があるので、動機がして胸に不安感があるときは、果実の
煎じ汁を毎日飲むと効果があります。特に精神不安に有効です。
・梔子には炎症をとる効があり、腫れて熱をもち赤くなっている、色々な腫れ物に効果があり
ます。
・止血作用があるので、鼻血、喀血、痔出血、胃腸からの出血、子宮出血などに煎じて飲み
ます。
生薬になる草花
葛根
(カッコン)
葛の花
葛(クズ)
秋の七草の家の一つとしても有名で、つる性のマメ科の多年草です。
薬用部位は主として根で、その他葉や花も使います。
根をよく水洗いして泥を落とすと同時に外側の皮を取り除き、これを板状かサイコロ状に切って、天日で乾燥させたものが、生薬の葛根(カッコン)です。
風邪のひき始め、乳汁不足、切り傷、ただれ、血便、滋養整腸、酒の悪酔い、肩こり等に使います。
・葛(クズ)には、発汗作用、解熱作用があります。
・風邪の初期症状の頭痛、肩や首筋のコリを和らげたり、痛み止めの
働きもあります。
・クズ湯は、滋養があり体を温めるので、風邪のひき始めや回復期に
効果があります。
葛粉は、外皮を除いたものをすりおろして粥状にして、綿布でこして繊維質を除き放置して上澄み液を捨て、これを数回繰り返すと、底に白泥が得られます。これを乾燥させたものが葛粉です。
百合(ユリ)
古い時代に、中国から渡来し各地の山野に自生する多年草で、地下の燐茎を生薬として用います。オニユリ、ヤマユリ、ササユリ、テッポウユリなどが用いられます。
根ごと掘り取り、水洗いして熱湯をかけて燐茎をはぎとり、日干しにして乾燥させます。これを百合(ヒャクゴウ)といい、鎮咳、鎮静、滋養、強壮、解熱、利尿薬として、漢方処方に用います。
・食用としては、ユリ根として、煮物や天ぷら、きんとんなどに使われます。
・イライラしたり、気分が落ち着かないときに、不眠の時に、ユリ根が効果的です。
・ユリ根のつき汁をお湯で割って飲むと、肺を潤し咳を止める働きがあります。
牡丹(ボタン)
奈良~平安時代のころ、薬用植物として中国から渡来した落葉低木です。
生薬にするのは、牡丹の根皮の部分ですので、花期に開花させずにつぼみを取り除き、根の発育がよくなるように栽培します。
4~5年目の10~11月に、根を掘り取りよく水洗いして、木部を抜き取った根皮を日干しにします。これを牡丹皮(ボタンピ)といい、消炎、解熱、鎮痛、鎮静、浄血、通経の目的で漢方処方に用いられます。
牡丹皮(ボタンピ)を単味で用いることはまれで、瘀血を改善する駆瘀血剤として漢方薬の一成分として使われます。
芍薬(シャクヤク)
「立てば芍薬(シャクヤク)、座れば牡丹(ボタン)、歩く姿は百合(ユリ)の花」
初夏に咲く花は美しく、美人の形容にたとえられるほどです。芍薬は、古く中国から渡来したものです。植え付けから5年目の秋(10~11月)に、根を掘り取り外皮を除いて、さらに水洗いして日干しにします。これを芍薬(シャウヤク)といい婦人病の漢方に広く用いられています。
さらに水洗いした根を熱湯に浸すか蒸したのち乾燥したものを、真芍(シンシャク)といいます。
薬用には、白花がよいといわれていますが、他の花色のものでも薬効に差はありません。筋肉の痙攣や気分の高ぶりを鎮めるほか、腹痛、疼痛、下痢などに用います。また、婦人病(冷え性、血の道症)に用いられます。
・けいれん性のお腹の痛みや整理痛には、芍薬が処方された漢方薬の芍薬甘草湯を用い
ます。
桔梗(キキョウ)
秋の七草のひとつであり、山野の日当たりのよい乾いた草地に自生する多年草で、青紫色や白い花を咲かせます。
薬用部は根で、3~5年目の根を掘り取り、細根を取り除いてから水でよく洗ってから、日干しにしてよく乾燥させます。これを桔梗根(キキョウコン)または桔梗(キキョウ)といい、咳や痰がでるときや咽の痛みの激しいとき、しがわれ声になったときに用います。
・食用の場合は、白く太い桔梗の根を、アクが強いので流水中に数日浸して、外皮を軟化させ
てから外皮を取り去って、漬物や山菜とします。
大葉子(オオバコ)
多年草で繁殖力が強く、7月頃穂上に開花し、秋になると黒褐色の種子をつけます。葉が広く大きいことから大葉子(オオバコ)の名前がつけられ、道端の雑草の中には常に大葉子を見つけることが出来ます。
花期、葉が充分に成長したところで全草を採取し、水洗いし泥をよく落とし、根元についている枯れた葉を取り除いてから、陰干しで完全に乾燥させます。これを車前草(シャゼンソウ)といいます。また、結実している花穂を切り取り、天日で乾燥させると種子が飛び出してきます。これを車前子(シャゼンシ)といいます。
全草を車前草(シャゼンソウ)、種子を車前子(シャゼンシ)といい、漢方では生薬として使われます。咳止め、利尿、下痢止め、むくみ、止血、強壮に用います。
・オオバコの茎や葉には胃腸を丈夫にする効果や利尿作用、種子には咳止めの働きがあり
ます。
・オオバコの煎じ汁は、毎日の飲み続けることによって、長引く蓄膿症の症状を改善します。
・尿量減少、むくみには、陰干ししたオオバコの葉10gまたは実5gを煎じて飲むと効果があ
ります。