食養生第六回不眠

 眠りを誘う成分(催眠物質)として知られているのが、脳の松果体から分泌されるホルモンの一種のメラトニンです。メラトニンには睡眠のサイクルを調整したり、時差ぼけを解消したりする働きがあり、バナナくるみキャベツに含まれています。バナナやくるみを、夕食後に適量をとるようにします。
 アミノ酸の一種であるグリシンも呼吸の調節に関係している成分で、催眠作用に似た効果があります。夕食でグリシンを多く含むえびほたてなどを積極的にとるとよいでしょう。
 アミノ酸の一種のトリプトファンは、体内で神経伝達物質のセロトニンの合成を高める働きをします。セロトニンは睡眠や精神を安定させる作用があります。トリプトファンは牛乳バナナ大豆製品かつおさんま、まぐろしらすごまピーナッツなどに含まれています。
 これらの食品をとるのと同時に、夕食や夜にかけては、神経を刺激する辛味の強い香辛料、覚醒作用のあるカフェインを含んだコーヒーや紅茶、緑茶などをとるのを避けましょう。就寝前にホットミルクを飲むのもよいでしょう。

【疲れによい主な食材】
バナナ、くるみ、キャベツ、えび、かつお、さんま、まぐろ、ほたて、豚や鶏の心臓(ハツ)、竜眼肉、なつめ、ゆり根、金針菜、大豆、ごま、ピーナッツ、黒豆、はすの実、牛乳、カモミール、ラベンダー、柏子仁など。

 ぐっすり眠れた翌朝は体の疲れも取れ、気持ちもすっきりします。ところが、なかなか寝つけなかったり、睡眠がとれないと、朝目覚めたときに不快な気持になります。心配事などがあると一時的に眠れなくなりますが、毎日のように不眠が続くと、やはり辛いものです。
 不眠の原因のひとつは、体内時計(サーカディアンリズム)の乱れです。不規則な夜型生活を送っていると、体内時計がくるうため、よく眠れなくなってしまいます。また、過剰なストレスで緊張が続いているときも眠りにくくなります。そのほかに、うつ病などの精神的な病気、発熱や頭痛などの不調があったり、かぜで咳や鼻づまりがあったりして眠れないこともあります。腎機能障害で、夜中に何度もトイレに起きる場合も、ぐっすり寝た気がしません。
 寝ている間に、大きないびきと無呼吸の状態を繰り返すため、何度も眠りが中断される睡眠時無呼吸症候群でも不眠になります。

 
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